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よくわかる介護保険制度※平成30年度介護報酬改定時点のものです。

介護保険制度は、介護が必要になった方が必要なサービスを受けながら自分らしく生活できるよう創設された社会的な支え合いの制度です。
40歳以上の方は介護保険に加入し、決められた保険料を納めています。その保険料や税金を財源に、さまざまな介護保険サービスが提供され、介護が必要になった方が一定の割合の自己負担額で利用できるようになっています。
社会的な支え合いの制度であるため、介護保険サービスの利用には、介護が必要であることの認定「要介護認定」や、必要なサービスを適切に提供する仕組み「ケアプランの作成」などのさまざまなルールや手続きが定められています。
そのため、介護保険制度を適切に利用して介護が必要なご自身やご家族の生活を組み立てるには、制度やサービスについてのさまざまなことを知っておく必要があります。 まずは介護保険制度の基本を知ることからはじめましょう。

利用できる人

要介護認定を受けた65歳以上の方、介護保険の対象となる病気(特定疾病*)により要介護認定を受けた40〜65歳の方

*特定疾病

介護保険で対象となる病気には16種類が指定されています。 がん末期(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る)、関節リウマチ、筋萎縮性側索硬化症、後縦靱帯骨化症、骨折を伴う骨粗鬆症、初老期における認知症、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病、脊髄小脳変性症、脊柱管狭窄症、早老症、多系統萎縮症、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症、脳血管疾患、閉塞性動脈硬化症、慢性閉塞性肺疾患、両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

サービスの利用方法

介護保険サービスを利用するには、「要介護認定」を受ける必要があります。
お近くの地域包括支援センターや自治体窓口で申請のサポートを受けることができます。
自治体に何カ所か設置されている「地域包括支援センター」は、高齢期の健康・福祉・医療に関する悩みのよろず相談窓口となっています。
困ったことがあれば、まず「地域包括支援センター」に相談してみましょう。

介護保険サービス利用の手続き

1申請する

お近くの地域包括支援センターが自治体の介護保険担当窓口に申請します。手続きは、ご家族や「ケアマネジャー」に代行してもらうこともできます。まずは、同センターか自治体窓口に「介護保険の利用について」相談してみましょう。

2要介護認定を受ける

申請をすると、介護の必要性についての認定「要介護認定」を受けることになります。自治体の担当者による聞き取り調査「訪問調査」や「主治医の意見書」、調査結果の判定により、介護や支援が必要な度合い「要介護度」が決定されます。

要介護度の決定の説明図。訪問調査・主治医の意見書により、要介護度が決定されます。

3結果を受け取る

認定結果は原則30日以内に通知されます。認定された「要介護度」により、受けられるサービスが変わってきます。

要介護度と受けられるサービスの説明図。要支援1~2は介護予防サービスと介護予防・生活支援サービス事業が利用できます。要介護1~5は介護サービスを利用できます。

4ケアプランを作成する

要介護の認定を受けた場合は、コーディネーター役を務める専門職「ケアマネジャー」が介護が必要な方の希望する生活などを踏まえ、どのようなサービスをどの程度利用するかを決定する「ケアプラン」を作成します。ケアマネジャーは、介護保険サービスのほか、地域の見守りネットワークや自治体の支援事業なども活用したプランを考えてくれます。どのようなことに困っていて、どういった生活を送りたいのか、しっかりと伝えましょう。要支援の認定を受けた場合は、地域包括支援センターの専門職が介護予防ケアプランを作成してくれます。

※施設入所の場合には施設ケアプランが作成されます。
5サービスを利用する

サービスを提供するそれぞれの事業者と契約し、ケアプランに基づいてサービスを利用します。利用にあたっての介護保険サービス費の自己負担額は、所得に応じて費用の1割〜3割になっています。

介護保険サービスの利用額と自己負担

介護保険サービスは、所得に応じて利用額の1割〜3割の自己負担額で利用できます。

ご自宅で利用する介護保険サービスには、月ごとに要介護度に応じた利用額の上限(区分支給限度基準額)が定められています。 限度額を超えてサービスを利用した場合は、超えた分が全額自己負担となります。

要介護度ごとのサービス利用額(月額)の上限
要支援1 50,030円
要支援2 104,730円
要介護1 166,920円
要介護2 196,160円
要介護3 269,310円
要介護4 308,060円
要介護5 360,650円
※ 介護報酬の1単位を10円として計算 ※ 特定福祉用具購入費、居宅介護住宅改修費、居宅療養管理指導費を除く

自己負担額の軽減方法

介護保険サービスの自己負担額が高額となったときや、生活が苦しい方の場合は負担を軽減する仕組みがあります。

高額介護サービス費

ひと月の介護保険サービスの自己負担額の合計額が下記の表の上限額を超えた場合、
超えた費用が介護保険から支給されます。支給を受けるためには、市区町村への申請が必要です。

区分 負担の上限額(月額)
現役並み所得者に該当する方がいる世帯の方 44,400円 <世帯>
世帯内のどなたかが市区町村民税を課税されている方 44,400円 <世帯>

※同じ世帯の全ての65歳以上の方(サービスを利用していない方を含む)の利用者負担割合が1割の世帯に年間上限額(446,400円)を設定

世帯全員が市町村民税を課税されていない方 24,600円 <世帯>
前年の合計所得金額と公的年金等収入額の
合計が年間80万円以下の方など
15,000円 <個人>
生活保護を受給している方など 15,000円 <個人>
高額医療・高額介護合算制度

同じ医療保険の世帯内で、1年間の医療保険と介護保険の自己負担の合計額が、一定金額以上となった場合は、負担額が軽減されます。差額のうち、介護保険に係る部分については「高額医療合算介護サービス費」として、医療保険に係る部分は「高額介護合算療養費」として支給されます。支給を受けるためには、市区町村への申請が必要です。

そのほか、施設や有料老人ホームなどの入居系サービスの場合には、所得に応じた居住費、
食費等の負担軽減策が設けられています。
担当のケアマネジャーや施設の生活相談員などに相談してみましょう。

監修:医療法人社団梟杜会 西田医院 西田伸一