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在宅医療総論

地域包括ケア

◆地域包括ケアとは

厚生労働省においては、2025年(平成37年)を目途に、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、誰もが安心して可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、医療、介護、介護予防、住まい、日常生活への支援を行い、地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築を推進している。
地域包括ケアシステムは、保険者である市町村や都道府県が、地域の自主性や主体性に基づき、地域の特性に応じて作り上げていくことが必要である。

「地域包括ケアシステム」は厚生労働省などにより、植木鉢の図を用いて説明されている。
その中では、“家族は本人の選択をしっかり受け止め、たとえ要介護状態となっても本人の生活の質を尊重することが重要である”※1 との考え方から、「患者さん本人の選択と本人・家族の心構え」を基礎に位置づけている。本人が選択した「“すまい”と“すまい方”」に基づいて、「介護予防・生活支援」を行なっていくことになる。この”「介護予防・生活支援」は、介護予防・日常生活支援総合事業における取扱にもみられるように、専門職の関わりを受けながらも、その中心はセルフマネジメントや地域住民、NPO等も含め、それぞれの地域の多様な主体の自発性や創意工夫によって支えられる”※2 と位置づけられている。
これら「患者さん本人の選択と本人・家族の心構え」「“すまい”と“すまい方”」「介護予防・生活支援」を前提として、「医療・看護」「保健・福祉」「介護・リハビリテーション」が、それぞれの専門職によって、患者さんに応じた機能を発揮することが期待されている。
「住み慣れた地域での生活を継続すること」は、植木鉢で表現される住民一人ひとりの地域生活が、その地域の支援やサービスの有機的な連携によって一体的に提供されることによって成立する。「地域包括ケアシステム」を構築していく上で、地域の資源を組み合わせるバランスと、相互の連携をマネジメントすることが重要なテーマとされている。

図1. 地域包括ケアシステム「5つの構成要素」
の関係

地域包括ケアシステムの「5つの構成要素」の関係を示す「植木鉢」の図。「患者さん本人の選択と本人・家族の心構え」「“すまい”と“すまい方”」「介護予防・生活支援」を前提として、医療・看護や介護・リハビリテーション、保険・福祉といった介護予防・生活支援の体制が築かれていきます。

出典:「地域包括ケアシステム構築に向けた制度及びサービスのあり方に関する研究事業報告書」(厚生労働省)

地域包括ケアシステムの姿の図。地位包括ケアシステムでは、おおむね30分以内にサービスが提供される日常生活圏域(中学校区)を単位として想定しており、ご本人と家族の「住まい」を中心に、「生活支援・介護予防」、「医療」、「介護」などのサービスを提供します。

出典:厚生労働省:地域包括ケア http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/

◆高齢化の進展と在宅医療

わが国の65歳以上の人口は、現在3,000万人を超えており(国民の約4人に1人)、2042年の約3,900万人でピークを迎えるとされている。また、団塊の世代(約800万人)が75歳以上となる2025年(平成37年)以降は、国民の医療や介護の需要が、さらに増加することが見込まれている。
こうした状況を踏まえ、病院・病床機能の分化・連携を進めるとともに、在宅医療の充実を図ることが国の重要政策として位置づけられている。

参考文献

・厚生労働省:地域包括ケア

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/

・在宅医療助成 勇美記念財団 在宅医療テキスト P40〜43

引用文献

※1、※2厚生労働省:地域包括ケアシステム構築に向けた制度及びサービスのあり方に関する研究事業報告書

監修:全国在宅療養支援診療所連絡会 会長 新田 國夫