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在宅医療の現場から

【医療法人社団 淳友会 わたクリニック】
生ききるを支えるプロフェッショナル

東京都葛飾区の全域、足立区、墨田区、江戸川区の一部で在宅医療を展開するわたクリニック。全国でも有数の在宅看取りの実績を持ち、ここ数年は毎年400名を超える患者さんの最期を見届けている。病院の緩和ケア病棟と比べても引けを取らない在宅緩和ケアを提供していることに加え、がん患者の受け入れ要請を決して断らないことから、近隣の医療施設からの信頼も厚い。そんなわたクリニックの日常に一歩踏み込むと、患者さんが最期まで自分らしく生ききることを支えるプロフェッショナルの姿がある。

医療法人淳友会 わたクリニック
医療法人淳友会 わたクリニック
  • 開設年:2002年
  • 所在地:東京都葛飾区柴又1-2-1
  • 在宅患者数:約680名

病院並みの在宅緩和ケアと
ワークライフバランス

最期まで自分らしく生ききることを支えていく、がんの患者さんは絶対に断らない――2002年8月の開業から一貫して掲げているわたクリニックの診療方針だ。この方針を常に念頭に置き、在宅緩和ケアを中心とした質の高い、誠実かつあたたかな在宅医療を実践している。(参考:わたクリニックの訪問診療の風景

「始まりは私1人で、こじんまりとしたものでした。少しずつ患者さんが増えていけばいいな、くらいに思っていました」

院長の渡邉淳子先生は開業当初をこう振り返る。だが、質の高い在宅緩和ケアとがん患者を断らない診療姿勢から、退院先に苦慮した際の駆け込み寺的なクリニックとして近隣の病院からの信頼を集め、想像していた以上に患者数は増加。それに合わせてクリニックの人員を増やしてきた。2012年には隣接する江戸川区にサテライトとしてわたクリニック船堀も開設。現在は常勤医9名、非常勤医13名、薬剤師1名、事務10名、運転手10名が在籍し、近隣の訪問看護ステーションや薬局と連携して700名弱の患者さんを支えている。

渡邉 淳子先生
渡邉 淳子先生

クリニックを開設した2002年8月から2016年5月までに受け持った在宅患者は4711名。このうちがんの患者さんは3065名で、65%を占める。同じ期間の在宅看取り数は3223名で、うちがんの患者さんは87%、2805名に上る。直近の2016年度の在宅看取り数は過去最高の477名で、このうちがんの患者さんは407名(85%)だった。下のグラフは、葛飾区および全国のがん患者の在宅看取り率にわたクリニックのがん患者の在宅看取り数を重ねたものだ。葛飾区の在宅医療におけるわたクリニックの貢献の大きさを物語るデータといえるのではないか。

がん患者のグラフ

わたクリニックのがん患者の在宅看取り数が増えるにつれ、葛飾区のがん患者の在宅看取り率は全国平均を大きく上回るペースで上昇。葛飾区においては2015年の時点で、がん患者の概ね3人に1人が自宅で最期を迎えている。

PCAの実施件数は年間200件弱

冒頭で触れた、“最期まで自分らしく生ききることを支える”医療の実践にあたっては、質の高い在宅緩和ケアが必須となる。同クリニックには、日本緩和医療学会の専門医が1名、暫定指導医が2名、緩和薬物療法認定薬剤師が1名在籍する。患者自己調節鎮痛法(Patient controlled analgesia、以下PCA)の実施件数は、年間200件に迫る。緩和ケア関連の資格を持つ医療者の数とPCAの件数は、クリニックレベルでは全国トップクラスといえるだろう。

「言うなれば患者さんの自宅がベッド、地域が緩和ケア病棟みたいなものです。使用する薬の種類や量、提供する医療の内容は、緩和ケア病棟を有する病院と比べても遜色ありません」

病院並みの在宅緩和ケアを自認するだけあり、鎮痛補助薬なども含め、使用する薬剤は非常に多様だ。それだけに、コンサルテーション業務を主とする緩和薬物療法に精通した常勤薬剤師の存在が欠かせないという。

「緩和ケアの薬物治療は複雑であり、医師が薬の選択や投与量の判断に迷うことも少なくありません。製薬会社の学術情報室に電話する時間的余裕もなければ、薬局に質問するのも仕事の邪魔をするようで気が引けます。そんなときに気軽に相談できて、すぐに適切な回答をくれる薬剤師の存在は、安全かつ適正に薬物治療を行う上で、大きな助けとなります」

どう働くかを自分自身でデザイン

もう一つ、わたクリニックの特徴として挙げられるのが、医療者が疲弊することなく、常に100%の力を発揮できる就労環境だ。勤務日数や勤務日、当直や時間外の電話対応を行うかなど、どう働くかは個々の医師に委ねているという。週3日以上の勤務で常勤となるが、週3日だろうと5日だろうと、社会保険などの待遇面は変わらない。週3、4日勤務の常勤医は、クリニックに出勤しない日は、大学で研究に取り組んだり、別の病院に勤めたりしているそうだ。

「自分にゆとりがないと、見えるはずのものが見えてこないことがあります。『忙』という字は、心を亡くすと書きますよね。在宅医療は心が必要な仕事です。患者さんや家族の言葉にならない心の内を読み取っていく力が要求されます。自分に余裕がなかったり、ストレスを感じていたりすれば、相手の思いを汲みとる感性も鈍ってしまうでしょう。当クリニックの先生方には無理をせずに、自分自身にとってベストな働き方をしてほしいと思いがあります」

質の高い在宅緩和ケアと常勤薬剤師によるコンサルテーション、そしてワークライフバランスを意識した働き方。いずれも、最期まで自分らしく生ききることを支える医療の実践には不可欠であり、わたクリニックならではの強みといえるのではないか。

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