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千種区認知症地域連携の会ICTを活用した多職種連携が、
患者さんのQOL向上につながる

黒川 豊先生の取材時の画像。

平成16年、黒川豊先生らによって設立された『千種区認知症地域連携の会』では、医療機関、福祉関係者、行政、保健、地域住民、認知症の人と家族の会などが一体となり、市民啓発、専門職の教育、多職種ネットワークによる支援などを行っている。

平成27年末には新たな試みとして、ICTによる多職種連携システムの試験運用を開始。

システムを通じて、患者さんの日々の様子、問題点の有無をチームで共有しつつ、定期的なミーティングで情報整理・現状認識・目標の見直しを行うことで、医療とケアの質のさらなる向上に努めている。

ICT(Information and Communication Technology)による多職種連携システム。エーザイがNTT東日本と共同で展開しています。モニタリング、連絡帳、ワンチーム支援などさまざま機能があります。 ICT(Information and Communication Technology)による多職種連携システム。エーザイがNTT東日本と共同で展開しています。モニタリング、連絡帳、ワンチーム支援などさまざま機能があります。

DLBが疑われる事例へのシステム導入

Aさんの場合、進行性の認知機能の低下に加えてパーキンソニズムはある。幻視はなさそうですね。あと認知機能の変動があれば、現在のDLBの診断基準では、3つの中核的特徴のうち2つを満たし、„ほぼ確実にDLB〝ということになります。どうでしょう、日によって注意や集中力が良かったり悪かったりということはありますか?」
 黒川先生が、ケアマネジャー、訪問看護師、薬剤師、特別養護老人ホーム(特養)の介護福祉士、訪問系サービス事業所の理事長に問いかける。平成28年4月、黒川医院で行われた『千種区認知症地域連携の会』のチーム会議のひとコマだ。

千種区認知症地域連携の会のチーム会議の様子。

 今回は、ICTによる多職種連携システムを導入したAさん(男性)に関するミーティング。Aさんは、うつ病が遷延する過程で、下肢の振戦、ふらつき歩行、起立性低血圧などのパーキンソニズムが出現し、さらに認知機能の低下を認めるようになった。前医では認知症を伴うパーキンソン病と診断されたが、AD+パーキンソン病なのか、DLBにおけるパーキンソニズムなのかは定かではない。奥さんとともに名古屋に転居することになり、黒川先生らのチームが担当することになった。
 昨年12月に初回のチーム会議を行い、〔Aさんはもともと知的レベルが非常に高いだけに、できないことへの苛立ちが強い〕〔夜中にパソコンを使うため、朝起きられない〕といった現状・課題を確認。そのうえで、〔150m離れた公園まで散歩に出かけられる〕という大目標、および〔本人が興味を持って外出したがるテーマの把握⇒自発的な外出〕といった当面の目標を立てた。
 その後はICTシステムを通じて、自宅および特養のデイサービス・ショートステイでのAさんの様子がチームで共有されていった。
 あるときは、訪問リハビリテーションを担当する理学療法士(PT)から、ICTのSNS連絡帳(上図)に〔公園外周を休まず2周歩いています〕という書き込みがあった。

ICTによる多職連携システムの運用の図。チームミーティングによる方針決定⇒モニタリング、ケアの実践⇒評価⇒ケア方針の見直しを行います。

こうしたやりとりを日々重ねながら、この日のチーム会議を迎えたわけである。

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