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在宅医療の現場から

病院に求められる在宅医療サポート

VF(嚥下造影検査)外来で嚥下機能を評価

国立社会保障・人口問題研究所が2017年に公表した将来人口推計によれば、65歳以上の高齢者人口がピークを迎えるのは2042年。団塊世代が75歳以上となる2025年に向けて病床数の削減も緩やかに進み、少なくとも向こう10年は全国のほとんどの地域で在宅医療へのニーズが高まっていくことが予想される。「病院はもっと在宅医療をバックアップできると思っています。在宅で必要だけれど、在宅では実施できないサービスを病院は提供できるはずです」と語る森田先生。その一例として「嚥下機能の評価」を挙げた。

「近年、食べこぼしやわずかなむせなど口腔機能が軽微に低下した状態、[オーラルフレイル]が注目されています。また、脳卒中の患者さんでも、退院後しばらくは問題なく食事ができたけれども、やがて喉のつかえや飲み込みづらさを感じたり、むせを生じたりすることはめずらしくありません。このようなとき、食べさせることに不安を感じる訪問看護師やヘルパーも少なくないと思います。在宅の場では嚥下機能を評価する術はありませんが、病院ならばそれができます。摂食・嚥下の専門外来を開設すれば、病院は在宅医療にもっと貢献することができると思うのです」

同院では2016年から、月に数回のペースでVF(嚥下造影検査)外来(以下、同外来)を開いている。患者さんや家族を介して、検査および嚥下機能評価の結果を地域の主治医にフィードバック。その後は、主治医と多職種が協議するなどして、必要に応じて食形態の見直しや介護サービスの変更などの対応を行うという流れになる。

「対外的に広くアナウンスしているわけではないので、現状はまだ受診者も限られています。いうなれば試行段階です。一方で、訪問看護師らと行っている『在宅医療を考える会』や地域の医療・介護従事者が嚥下の問題について話し合う『新潟エッセン』という会では、[嚥下の評価さえしてもらえれば、在宅でプランを立て直すことができる]といった声が聞かれるなど、同外来に対するニーズがあることは確かです」

 こう話した森田先生は「VE(嚥下内視鏡検査)の導入も視野に外来の機能と規模の拡充を図っていきたい」と意気込みを示した。そして、今後の地域医療の中で病院が担うべき役割について、次のように述べた。

「大学病院のような高度急性期病院は別として、私たちのような地域の中小病院に求められる重要な役割の一つが、診断とアセスメントではないかと考えています。たとえば認知症にしても、診断がつけば対応できるという開業医の先生方は少なくありません。VF外来もそうですが、病院は診断とアセスメントを通して、地域の先生方が前に進むための根拠を提供する場であるべきだと私は考えています」

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