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在宅医療の現場から

病院や事業所などからの相談にも、訪問して対応する

 病院や地域の事業所、患者さん、家族らからの相談の窓口となるのも連携部の役割の一つだ。最大の特徴と言えるのが、相談の敷居が極めて低いということ。たとえば病院の退院支援部門からは「在宅医療は難しいとは思うけれど相談したい患者さんがいる」「お願いするかわからないけれど対応に苦慮している患者さんがいる。意見を聞きたい」といった相談もあるという。さらに驚かされるのが相談を受けた際の対応。連携部のMSWは、積極的に病院の退院支援部門やベッドサイドに足を運ぶ。「実際に顔を合わせて話し合うことで、解決策が見つかるかもしれない」という思いが根底にあり、実際に打開できることも多々ある。

「病院から患者さんについての相談を受ける際、以前は電話のみの応対でした。当時の経験で忘れられないのが、ある病院の新人のMSWの方から相談を受け、在宅での対応が可能だとお伝えしたにもかかわらず、結局は退院されなかったという事例です。あとから聞けば、ご家族が在宅療養に不安を感じていたとのことでした。私が事前に病院を訪問し、在宅療養について説明を尽くし、どうすれば在宅に戻れるかを一緒に考えれば退院できたかもしれません。とにかく訪問することが大事だと思っています。」

 入院患者が退院後に在宅医療を受ける場合、病院側では退院支援部門の看護師やMSWが調整役を担う。退院支援部門では、医師や病棟の看護師、薬剤師らと患者さんの情報をやり取りしながら、退院に向けた道筋を整えていく。さらに在宅療養を問題なく継続していくにはどのようなサービスが必要なのか、介護保険をどう活用するかなども検討し、地域の事業所などとの調整もしていかなければならない。これらを病院の退院支援部門が一手に担うのは負担が大きく、場合によっては調整が難航することもあり得る。こうした事情も連携部が訪問を重視する理由の一つだ。

「病院側の医師や看護師は主にその人の身体の状態や治療をどうしていくかということを見ています。一方で、在宅側はその人の生活面をどう支援し、治療を継続していくかということを考えている。同じ患者さんで、見ている部分が重複していても、見えるものは違ったりします。そのすり合わせに行くわけです。お互いの事情を踏まえて一緒に考えれば、さまざまなことを早くに具体化できます。これは単に病院と在宅側の負担が軽くなるだけでなく、患者さんにとっても重要なことだと思っています」

 以上のようなスタンスで動いていることもあり、病院から依頼を受けた場合は、地域の訪問看護ステーションや介護サービス事業所との調整を連携部が引き受けることが多い。「病院も地域の事業所もお互いにさまざまな事情、課題を抱えています。それらを踏まえて、私たちが調整役として間に入ることで双方の負担を軽くできれば、というのが連携部のめざすところです」と針生さん。

まとめ:地域連携部(MSW)の業務内容

  • 相談業務病院や地域の事業所、患者さん、家族からの在宅医療に関する相談応需(医療の提供体制、費用、対象となるかどうかなど)
  • 病院および他事業所との調整在宅療養にあたり必要なサービスを検討し、病院や地域包括支援センター、訪問看護ステーション、居宅介護支援事業所などと調整を図る
  • 診療前訪問在宅医療開始前に患家や病院を訪問。料金や制度などを含め、患者さんや家族に在宅医療について説明、患者さんの希望、生活環境、家族背景などの聞き取りも行う
  • 退院前カンファレンス(入院患者のみ)病院側の医師や病棟・退院調整看護師ら、在宅側の医療、介護職が顔合わせを行い、病院側が入院中の経過や現在の状態などについて報告。在宅側は支援の方向性などを提示、提案し、双方で情報共有を図る
  • 初回訪問診療同行患者さんと医師とをつなげる。
  • 退院後報告(入院患者のみ)退院1~2カ月後を目安に、在宅での経過や生活状況などを紹介元病院に文書で報告
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