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訪問薬剤師の取り組み

服薬支援機器「eお薬さん®」で在宅服薬コンプライアンスが改善
栄養指導を含めた健康サポートを実践

「やさしいおくすりやさん」を標榜するAPEXグループの青横ファーマシー薬局大井町店は、地域住民を対象にした健康教室や簡易血液検査の実施など、処方箋調剤に止まらないより広範な健康サポート事業を積極的に進めている。かかりつけ薬剤師機能の充実による地域の医療・健康支援に取り組む同薬局は、在宅医療にも力を注ぐ。常駐の管理栄養士と薬剤師との連携による栄養相談は在宅医療においても大きな成果を上げている。
2017年10月に開かれた第50回日本薬剤師会学術大会のポスターセッションで同薬局の在宅医療の取り組みが報告され、その中で患者のトータルサポートに有用なツールとして服薬支援機器「eお薬さん®の活用事例が紹介された。

地域の健康サポート薬局の大井町店

「店頭」から「地域」へ

APEXグループは、東京・品川区内に4店舗、葛飾区2店舗、フランチャイズ2店舗を展開する地域密着型チェーン。「店頭」から「地域」へをモットーに、地域の医療・健康のトータルサポート薬局としてその存在感はますます高まっている。
今回取材にご協力いただいた青横ファーマシー薬局大井町店は、開設から9年目を迎え、同グループ内では一番新しい店舗。京浜東北線、りんかい線大井町駅から徒歩5分に立地し、1か月応需診療科数は近隣の内科、皮膚科、眼科などのクリニックを中心に50(40医療機関)で、常勤薬剤師数5人の面展開型薬局だ。「やさしいおくすりやさん」として、患者目線の薬剤業務を実践し、処方箋調剤だけでなく、OTC展開にも積極的に取り組んでいる。
日本薬剤師会学術大会でポスター発表した同店の管理薬剤師(教育担当)済藤美香氏は、現在10人の在宅患者を担当している。在宅業務は済藤氏を含めて3人の薬剤師と2人の管理栄養士の5人体制となっている。現在在宅業務を行っているのは、入所者30人の老人施設(グループホーム)と個人宅10軒。
地域活動にも取り組んでおり、老人施設や大井町地区の在宅介護支援センター、店舗などで管理栄養士と連携した健康教室などをそれぞれ月1回程度開催している。

済藤 美香氏

毎週1回の誤服用が実質ゼロに

「知的障害をもつ独居患者における在宅管理」のポスター発表では、障害のため服薬コンプライアンスの改善が必要なサービス付き高齢者向け住宅を居宅とする60代の男性患者に対して、済藤氏らのチームが「eお薬さん®」を使った服薬支援を行った結果、薬の誤服用がなくなった事例に関する報告を行った。
身寄りがなく、お金の管理もできないため成年後見制度を使っている、その男性患者の在宅管理では「独居の知的障害のある患者さんの在宅管理は初めての経験でした。抗てんかん薬と降圧薬、膝関節の痛み止めを服用していますが、服薬カレンダーがうまく利用できず、一包化して「朝」「晩」に分けても文字の判読が困難ということもあり、誤服用が続きました。毎週1回休みの日にケアマネージャーから誤服用の連絡が入るという状態でした」という。
半年ほどそのような状態が続き、困っていたところに「eお薬さん®」の存在を知り、機器を使った服薬管理を採用した。その結果、「4か月間、服薬支援機器を利用したところ、今までに月に2~3回あった誤服用が全くなくなった」(ポスター発表より)。済藤氏は発表後の状況についても、「現在ほぼ1年を経過した段階で、2回間違えただけです。その2回も理由が明確で問題もなかったので、コンプライアンスの心配はなくなったと考えています」と「eお薬さん®」活用の成果を強調する。

薬への理解深まり職種間連携にも効果

「eお薬さん®」の採用は、服薬コンプライアンスの改善以外の効果ももたらす結果になった。
「患者さんと一緒に薬を機器にセットする際に説明することで、本人の薬に対する理解や関心の深まりを感じました。また、薬を間違えずに飲むだけでなく、毎朝自ら血圧を測定し、訪問時には記録を提示するなど、日常生活にも前向きな行動が見受けられるようになりました」と「eお薬さん®」による波及的効果を済藤氏は指摘した。服薬時間を知らせる音声も好み通りに選択できるので、患者さんが「優しい女性の声が聞けて楽しい」との反応もあったとのこと。一種のコミュニケーション効果も生まれた様子だ。
また、「eお薬さん®」には通信による見守り機能が搭載されており、専用クラウドを通じて服薬情報の共有、記録の閲覧、メッセージの送信が可能であることから、「ケアマネージャーと患者さんの成年後見人、そして薬剤師の3者がデータを共有し、連携が取りやすくなった」ことも在宅管理の質向上につながっている。

食事指導により自分で調理も

食事も自立であるため、患者本人が食品を購入し、体重が5㎏も増えるという状態であったため、「コンビニなどでの食事購入が主だったが、休日は地域密着型での施設での食事を取り入れる。その後も体重は横ばいのため、管理栄養士が定期的に食事指導に入った。管理栄養士からはコンビニやスーパーで買える惣菜やサラダを、文字情報では理解できないので、絵や図を利用して1~2週間ごとに指導し経過観察していく」(ポスター発表より)ことで対応した。
その結果、体重減少にまでは至っていないが、「今まで数パターンの献立の繰り返しだったが、種類も増え、自分で包丁を使って簡単な調理をすることもできるようになったという。
ポスター発表では、「ケアマネージャー、成年後見人、管理栄養士とチーム連携することで、各々が抱えていた問題も定期的に情報交換ができることで、解決策を立てやすく、また、問題点も共有することができ、成果が上がった。自分達だけでは解決できないことも連携することで、患者さんのQOLを向上できると実感できた」と考察している。同薬局が目指す在宅患者のトータルケアの実践例のひとつともなっている。

在宅管理の質的向上を目指す、状況に合わせ「eお薬さん®」を積極活用

済藤氏は、ポスター発表の事例を含めたこれまでの在宅医療における実績を踏まえた今後の取り組みについて、「在宅の件数を増やすことはキャパシティの問題もあるので、当面は在宅管理の質の向上に取り組みたいと思っています。とくに、医師との連携が課題と考えており、施設へ医師と同行するケースもあるので、そうした機会に連携強化を図りたいですね」と語る。
また、患者の服薬管理については、「患者1人ひとりの状態に応じた取り組みが重要」と考える。そのため、患者個々人の残存能力を使うことを優先して、必ずしも一包化にこだわらずにPTP包装のままでお渡しすることもある。ポスター発表の事例も、「この方は認知症もなく、年齢的にもまだ機器に対する抵抗感がなかったことでスムーズに導入できたのではないかと思っています」としている。「eお薬さん®」が有用と思われる患者には、今後も積極的に活用していく方針だ。

「eお薬さん®」前面写真
  • 1日4回まで服薬時刻をタイマー設定
  • 服薬をチャイムとお好みの音声でお知らせ
    取り忘れてもスヌーズ機能でお呼びかけ
  • 取り出し回数・間隔制限など過量服薬の防止機能
  • クラウドから取り出しをお知らせするメール配信
    取り出し記録はクラウドでも閲覧可能
    (本機能をご利用いただくには、Wi-Fi 等、通信環境が必要です)

「eお薬さん®」の特徴

※使用感は個人の感想です。

※見守り支援機能を搭載した服薬支援機器「eお薬さん®
製品に関する詳細は、eお薬さん®のサイトをご覧ください。https://www.e-okusurisan.com/
「eお薬さん®」は医療機器ではありません。

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