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在宅医療の臨床課題

睡眠障害(主に認知症における)

◆在宅医療における睡眠障害

認知症、神経変性疾患、脳虚血障害など脳器質障害を有する高齢者では睡眠障害の出現頻度が極めて高いとされている。特に認知症の症状の中でも高頻度に認められるのが、夜間不眠,昼夜逆転などの不規則な睡眠覚醒パターン、せん妄などの睡眠関連障害があげられる。

◆睡眠障害のポイント

多くのケースでは不眠があると静臥していられず、俳徊、焦燥、興奮、暴力行為などの行動障害を随伴するため、家族や介護者が患者さんより先に疲弊してしまうことも多くみられる。その結果、夜間俳徊などの行動障害は、認知症のある高齢者の在宅介護を困難にさせ、施設入所に至る最大の原因ともなっている。

不眠症

高齢者では、夜間の中途覚醒回数や覚醒時間が増加し、徐波睡眠(深い睡眠)が減少するなど睡眠を維持する力が低下するが、認知症患者さんではこのような通常の睡眠の加齢変化がより強く現れる傾向がある。認知症患者さんにおいては強い不眠症状を訴えるケースが多いとされている。
そのような患者さんに対する対応は、半減期の短い睡眠薬、徐波睡眠の増加作用を持つ抗うつ薬、催眠作用を有する少量の非定型抗精神病薬などを用いるが、実際は睡眠薬が奏功する不眠症は少ないケースが多い。

・不眠症の対応で注意が必要なのは、認知症では薬が作用するはずの脳部位に障害があるため、薬物の増量などによって副作用が現れることもある。また、認知症の睡眠障害は多岐にわたるため正確な診断が難しい面もあり、薬物治療については十分に注意する必要がある。

・診断の際にはどうしても家族の陳述に頼ることになるが、介護上の負担感が大きい夜間の中途覚醒に対する訴えが集中し、それを「不眠症」と誤診しやすいということがある。夜間の不眠症状だけではなく、昼間の眠気や夕方の様子、手足の動きなどこまめに観察することが診断には重要である。

・薬物療法だけで睡眠障害を治療することは難しい。従って、認知症の患者さんであっても「質の良い睡眠は適度な疲労を伴う活発な日常生活があって初めて得られる」と言うことを念頭に置く必要があり、認知症といえどもその基本は変わらない。できる限り散歩や運動、日光浴の機会を作り、身体を動かすことも大切である。

参考文献

・三島和夫:臨床と研究 85(4)47:2008を改変

http://style.nikkei.com/article/DGXMZO89642560T20C15A7000000を改変

監修:全国在宅療養支援診療所連絡会 会長 新田 國夫