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在宅医療総論

在宅医療を行う前に

◆はじめに

在宅医療において、『患者ファースト』は極めて重要である。どのような生活を送るかのついての患者本人の選択、患者と家族の心構えに基づき、医療従事者には、患者が望む方向性を確認すること求められる。その上で、患者の状態に応じて、治療や介護の目的を定めていくことになる。この治療や介護の目的に沿って、患者や家族に何が必要なのかを明確にして、治療や介護の目標を決定していく。このときに重要なことは、患者との「つながり」である。そのため、入院医療と在宅医療のつながり、地域に応じたつながりなどにおいて、医師がリーダーシップを発揮することが求められている。

◆現代の在宅医療とは

“医師を中心とした看護師、薬剤師などの医療従事者が患者さんの居宅を訪問し、医療行為を行う医療技術体系が在宅医療で、病棟医療、外来医療と並ぶ『第三の医療』である。”※1 以前より在宅医は患者さんに期日を予告し、定期的に往診を行う『定期往診』を行っていたが、この『定期往診』と『24時間対応』が現代の在宅医療の基本となっている。

◆在宅医療が求められる背景

わが国では、超高齢化社会を迎え、通院困難になった患者さんや最期のときを自宅で過ごしたいと希望する人が増え、QOLを維持しながら療養する方法として在宅医療が注目されている。

1970年代以降、画像診断などの技術の進歩に伴い、迅速な診断と治療が可能である救急外来が高水準の医療を提供することで、救急医療を含めた病院医療が隆盛したが、一方で希望に沿わない医療の継続や病院に滞在することを余儀なくされていた患者さんも多くいた。そんな中、患者さんの希望や思いを重視して、自宅での継続的な医療を提供することを目指した医師たちが現れ、かかりつけ医による在宅医療が行われてきた。

現代の在宅医療は、在宅で継続診療するにあたり医療水準維持が行なわれ、症状の急変時などには、緊急往診により必要な医療を提供している。

また、24時間対応により、緊急事態のみの対応ではなく、患者さんや家族の不安に対して、24時間にわたる対応を行うことで、不安を除去して自宅療養継続の支援が図られている。

◆24時間対応と多職種連携

24時間対応は在宅医にとって苦しい業務である。アンケート調査による“24時間対応の困難さを挙げたものは75.3%に上っている。”※2 とはいえ、近年各地で取り組みがなされ、24時間対応型の訪問看護ステーションとの連携や複数の診療所の医師が協働して24時間対応を行うといったことや、全国において様々な取り組みが検討され、現代の在宅医療は着実に軌道に乗り始めている。

現代の在宅医療におけるもう一つの特徴は多職種連携である。以前の主なプレーヤーが医師と看護師だったのに対して、歯科医師、薬剤師、栄養士、リハビリテーションスタッフなども加わり、チーム医療として機能するようになってきている。

さらに、近年では、地域包括ケアの概念が浸透しつつある中で、在宅医療は地域包括ケアの中心的な役割を担い、中でも在宅医はその要として活動することへの期待は大きい。

参考文献

・公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団 在宅医療テキスト P9〜12を改変

引用文献

※1公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団 在宅医療テキスト P9

※2公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団 在宅医療テキスト P12

監修:全国在宅療養支援診療所連絡会 会長 新田 國夫