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在宅医療の臨床課題

排便障害

◆在宅医療における排便障害

便秘や下痢などの消化器症状は在宅医療の現場では頻繁にみられる症状であり、排便コントロールは在宅医療において非常に重要である。治療については症状のみならず、介護力、皮膚症状を考慮しつつ決定する必要がある。

◆排便治療に対する考え方

治療が必要な便秘とは、『腸管内の糞便が貯留した状態で、かつ腹痛などの症状を伴う』、『硬便のため排便時に痛みを伴う』場合であり、また治療が必要な下痢とは『排便時に痛みが伴う』、『水様便のため肛門周囲にスキントラブルを認める』、『褥瘡への感染リスクが高い』、『おむつ交換が頻回で介護負担が大きい』で、介護力や褥瘡などを含む皮膚状態に応じて変化すると考える。

便秘に対する対応

介護者は『排便回数・量が少ない』ことが便秘であると考える傾向があるが、そういった場合はまず治療が必要な便秘についてきちんと説明し、理解を促す。特に経管栄養の場合は1日の排便量が40g程度にまで減少するので、便の回数や量ではなく、『腸管内に糞便が貯留した状態』には当たらないということを理解してもらうことが大切である。
また、器質的病変がないこと、甲状腺機能低下症などの症状や抗コリン薬などの薬剤の副作用ではないことも確認する。

食事療法:繊維の多い食事と水分を十分に摂るようにする。経管栄養の場合は、栄養剤の変更を検討する。
薬物療法:排便間隔は個人差が大きいが、2~4日排便がなければ、痛みを生じることがあるので、下剤を使用する。

①硬便の場合は酸化マグネシウムで便を軟化させる。また、効果が不十分な場合は腸管内へ水分分泌を促進して便通改善する薬剤の使用も考慮する。
②腹部に張りがあり、腸蠕動が乏しい場合、刺激性下剤を使用する。刺激性下剤は長期間投与すると習慣性となるため、他剤との併用を行い、連用を避ける。
③腸管内で炭酸ガスを発生させ、それが直腸伸展刺激となり排便を促す薬剤(便意を促す)の使用も考慮する。
④浣腸によって直腸内に注入されたグリセリンの刺激作用により、腸管の煽動を亢進させ、便を軟化、湿潤化することで便の排泄を促す。
⑤浣腸でも排便できない場合は摘便を行う。

介護力が低い場合:排便処理において介護力が低い家庭などでは、訪問看護師による浣腸・摘便により週1~3回排便ができるような計画を調整する必要がある。

下痢に対する対応

まず、病歴、併存疾患、身体所見などから器質的疾患、炎症性、薬剤性の下痢を除外する。高齢者の場合は消化不良に伴う吸収不良による下痢が多いが、軟便でも介護力があり、腹痛や肛門周囲に皮膚症状が認められない場合は特に治療の必要性は低い。
下痢は脱水・電解質異常を合併するケースがあるので、全身状態を把握し、治療にあたることが必要であり、特に高齢者では脱水に注意すべきである。

治療法:機能性下痢や消化吸収不良では、食事内容や経管栄養剤の見直しを行う。食事制限を行う場合は点滴が必要になることが多い。軽症には乳酸菌製剤を投与し経過観察する。

参考文献

・公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団 在宅医療テキスト P76~77を改変

監修:全国在宅療養支援診療所連絡会 会長 新田 國夫