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在宅医療の
臨床課題

排尿障害

◆在宅医療における排尿障害

在宅高齢者では排尿障害を有することが多く、QOLの低下につながっている。排尿障害の診断は検尿と残尿測定で簡便に診断できる。主な排尿障害は頻尿、尿失禁、排尿困難、尿閉があげられる。

◆頻尿のポイント

頻尿は頻繁にみられる排尿障害で、移動可能な患者さんでは排尿行為が転倒や骨折の原因となることも多く、寝たきり患者さんでは介護者の負担が大きくなる。
頻尿の診断は問診と尿検査で、特に血尿や尿路感染の有無は確認が必要である。また、薬剤による排尿障害も多いため、服薬については必ず確認することが大切である。

残尿測定は腹部エコーで膀胱を観察して行うが、エコーがない場合は導尿で残尿測定を行う。
頻尿の原因には、多尿、膀胱蓄尿障害、睡眠障害などが関与するため、可能な場合は排尿日誌を実施する。しかし、在宅では有効な評価が得られないケースが多い。高齢男性で残尿が多い場合や排尿症状が優位な場合は前立腺肥大症に準じてα1遮断薬で治療を開始する。女性の場合や、残尿が少なく蓄尿症状が優位な場合は、過活動膀胱に準じて抗コリン薬やβ3刺激薬の投与を検討する。

尿失禁

尿失禁は腹圧性、切迫性、溢流性、機能性の4つに分類される。診断は注意深い問診や理学所見、合併症や既往歴などによって行う。

腹圧性尿失禁:高齢の女性で頻度が高い。咳やくしゃみなどの腹圧により失禁が出現し、加齢や出産による骨盤底筋群の弛緩が原因とされる。便秘コントロール、肥満解消、着衣改善などの生活指導と骨盤底筋体操の指導を行う。

切迫性尿失禁:突然の強い尿意を伴う失禁。対応は頻尿に準じる。

溢流性尿失禁:病態が異なるため、除外診断が必要。尿閉とほぼ同じ病態といえるため、対応は排尿困難・尿閉に準じて行う。

機能性尿失禁:排尿機能が正常にもかかわらず、運動機能低下や認知症が原因で起こる失禁。運動機能の低下では環境整備が重要であり、認知症では排尿自覚刺激行動療法が有用である。

表1. 尿失禁の分類と対応

尿失禁の分類 状態 原因 対応
腹圧性尿失禁 咳やくしゃみで尿が漏れる。体動時に腹圧がかかると漏れる。通常失禁時に尿意はない。残尿はないか少ない 加齢・出産による骨盤底筋群の弛緩。便秘・肥満も増悪因子 骨盤底筋体操の指導
電気刺激療法
手術
β2刺激薬
切迫性尿失禁 突然の強い尿意を伴う失禁。トイレまで我慢できない。水をみると誘発。 過活動膀胱。脳血管障害、多発性硬化症、パーキンソン病など排尿筋過活動を呈する神経疾患 抗コリン薬
β3刺激薬
蓄尿訓練
溢流性尿失禁 事実上尿閉となっていて膀胱に充満した尿が溢れ出している。導尿すると失禁が消失 前立腺肥大症などの下部尿路閉塞。糖尿病や骨盤内手術による末梢神経障害。脊椎疾患などによる神経障害 α1遮断薬
間欠自己導尿
カテーテル留置
手術
機能性尿失禁 排尿機能には支障ないが、運動機能の低下や認知症のためトイレで排尿できない。 運動器疾患による移動の障害。脳血管障害や神経疾患による運動麻痺。認知症 運動機能低下の場合は
環境整備
認知症では排尿自覚刺激行動療法

※公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団 在宅医療テキスト P75より作図

排尿困難・尿閉

高齢男性では前立腺肥大症などの下部尿路閉塞と関連する疾患があることが多く、便秘が原因となることもある。検尿と残尿測定が必須となり、エコーによる前立腺容積の評価も可能な限り実施する。PSA測定を行い、前立腺がんを除外する。尿閉がなく、残尿が多くなければα1遮断薬を検討する。
前立腺が大きく症状が強い場合、手術が適応するか泌尿器科医へのコンサルテーションを行う。手術の適応がない場合は5α還元酵素阻害薬を投与し、また、尿閉や残尿が多い場合で手術適応がないときはカテーテル留置や間欠導尿も検討する。

参考文献

・公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団 在宅医療テキスト P74~75を改変

監修:全国在宅療養支援診療所連絡会 会長 新田 國夫